[Flyability事例]ELIOS 3の活用により、下水道の測量を従来比4倍のスピードで実現
2025/12/16
ELIOS 3を使用し、狭小空間に一切立ち入らずに20mmの正確度で地下下水道のマッピングに成功。
メリットの概要
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アクセス ELIOS 3のように容易にこの下水道に立ち入る方法は他になく、人間が立ち入るには、より大規模なチーム、ロープアクセス、そして緊急救助チームを待機させる必要がありました。 |
安全性 狭小空間への立ち入りを一切必要としない遠隔操作での下水道内の確認により、作業時間を大幅に短縮し、測量チームは地上での安全を確保することができました。 |
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迅速性 ELIOS 3による調査は、従来の1日間の準備調査および2日間の60メートルのパイプの横断調査に対して、全てを半日で完了させることができました。 |
正確度向上 Academy Geomatics社は、10メートルの標高差と60メートルのトンネル長にもかかわらず、実物と比べ20mmの正確さを誇るデジタルツインを作成し、測量級の成果を実現しました。 |
人類は常に革新者であり、5,000年前から下水道を建設してきました。現代の下水道は、都市を清潔に保ち、人々の健康を支えています。しかし、世界中で下水道運営者や所有者は、その老朽化や報告書の経年化などといった同様の課題に直面しており、手描きの地図が下水道の位置を示す唯一の記録となっているケースもあります。古い地図は正確さに欠け、下水道の状況に関する情報がほとんど記載されていません。
解決策は?と言えば、下水道の位置、寸法、そして可能であればその状況も正確に地図上に記録された、つまりジオリファレンス済みの調査結果を得ること、という回答になります。しかし残念ながら、この調査は困難で、多くの場合、危険度の高い狭小空間で何日もかけて地下での作業を行う必要があります。地上での新しい建設工事は、それによって下水道が損傷しないよう、下水道の存在が確認されるまで待たなければならないため、この作業は極めて重要です。
ELIOS 3などのドローンによる下水道調査は、そのプロセスを迅速化すると同時に、人が立ち入るリスクを排除します。Academy Geomatics社は、本事例でその仕組みを詳しく説明しています。
ドローンを地下で使用して下水道をマッピングする測量士
Academy Geomatics社は、35年の経験を持つ専門測量会社です。イギリス全土で活動する同社のチームは、レーザースキャナー、トータルステーション、ドローンなどの機材を駆使して、建物の拡張工事から下水管まで、あらゆるものを正確に調査しています。2025年春、同社はNorthumbrian Water社から、再建が検討されている歩道橋の下の土地にある下水管の調査を依頼されました。その地域の産業化後の景観改善を目的とする地方自治体にとって、工事開始前の正確なインフラ記録が必要だったのです。
Academy Geomatics社は、下水道の状態と位置を確認するよう依頼を受けました。そのため、下水道が予想どおりの位置に設置されているかどうか、また、地表の雨水が直接下水道に流入しているのか、それともチャンバーを経由して流入しているのかを調べる必要があったのです。Academy Geomatics社の測量士たちは、この任務にELIOS 3ドローンを使用することを計画し、これにより、未知の状況下でチームを危険にさらすことなく、危険な場所へのアクセスが可能にしたのです。
ELIOS 3がドローンによる下水道調査に使用される理由
下水道調査は困難な作業ですが、公共施設の管理を円滑に進めるためには欠かせない作業です。ELIOS 3は、下水道調査を簡素化するのに最適な機能を備えております。このドローンは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより、次のようなメリットがあります。
- 堅牢で衝突に強い設計:地下を飛行する ELIOS 3は、頑丈な構造である必要があります。衝突耐性のあるケージと、衝撃を検知して回復するカスタムファームウェアにより、目視範囲外や下水管内でも安全に飛行できます。
- 高品質のデータ:ELIOS 3には、センチメートル単位の精度を持つLiDARスキャナーと4Kカメラが搭載されています。これらのツールを組み合わせることで、ドローンの周囲の状況に関する最新情報をリアルタイムで取得するとともに、点検や調査に必要な詳細な情報を得ることができます。データの品質は規制当局にも認められており、遠隔アクセスでも必要な重要なデータを提供できることが明らかになっています。
- カスタムソフトウェアの統合:Flyabilityの ELIOS 3 には、FARO Connect を含む測量用ペイロードが搭載されており、点群の処理と管理が可能です。さらに、Flyabilityは、最も広く使用されている下水道管理ソフトウェアの1つである WinCan Web とも連携して、ドローンで収集したデータを業界標準のフォーマットで使用することができます。
ドローンを使用したジオリファレンスされた下水道調査の計画
この下水道は、2つのマンホールとそれらを結ぶパイプで構成されていました。各マンホールは、トンネルまでの深さが10 メートルで、2つのマンホール間のトンネルの長さは約60メートルでした。Academy Geomatics社のチームは、地上で地上スキャンを行い、トータルステーションを使用してその結果をジオリファレンスし、その後、ELIOS 3を地下に飛ばしてトンネル内のデータを収集、後処理でそれら点群を結合する計画でした。
チームは、Trimble S7トータルステーションを使用して、現場全体のチェッカーボードをジオリファレンスした後、反転可能なスキャン三脚にLeica RTC 360レーザースキャナーを取り付けて使用しました。地上部分をスキャンした後、三脚を使用してスキャナーをマンホールの上部レベルまで下げました。この反転スキャンにより、レーザースキャナーの点群と ELIOS 3の点群を重ね、後で簡単に統合できるようになりました。なお、下水道内に機器を設置する前に、狭小空間に爆発性ガスがないことを確認し、このエリアに危険がないことを確認しました。
次に、ELIOS 3の飛行が行われました。 Academy Geomatics社のパイロットは、ドローンを使用して4回の飛行を実施。1回目は、SLAM飛行でゆっくりと移動しながらデータを収集し、同時に環境を調査しました。2回目は、ビデオによる点検データの収集に重点を置いた飛行でした。最後の2回はSLAMに重点を置いた飛行で、ドローンの測量ペイロードを使用してLiDARデータの収集を最適化し、空間全体を確実にカバーするようにしました。この下水道の構造上、特に10メートルの下降部分は SLAMスキャンでは困難な可能性があるため、Academy Geomatics社のチームは、結果に誤差が生じないように最善を尽くしました。また、ELIOS 3 には可燃性ガスセンサーも搭載されており、14種類以上の危険なガスの存在を警告することで、地下の目視範囲外での作業における安全対策がさらに強化されています。このプロジェクトにおいては、センサーは危険なガスを一切検出せず、ミッションは順調に完了しました。
現場でのデータ収集後、ELIOS 3のデータをInspector 5にインポートし、FARO Connectへと転送。点群をフィルタリングして整理した後、ELIOS 3とレーザースキャナーから取得した点群をすべて CloudCompare にアップロードし、それらを統合して最終結果を作成しました。その後、このデータを AutoDesk Recap にインポートして最終段階の分析を行い、最終的な点群として顧客に提供されました。
ジオリファレンスされた下水道調査にドローンを使用することの影響
Academy Geomatics社の調査は、ELIOS 3を使用した作業を含め、2人で半日で完了しました。従来の方法では、最初のスキャンに1日、下水道を徒歩で横断するのにさらに2日かかっていたのが、これは大きな進歩と言え、従来の調査方法では安全面から実施が不可能となった場合もあったことを考えると、尚更です。
Academy Geomatics社の共同ディレクターであるMark Anderson氏が率いるこのプロジェクトのチームは、ELIOS 3によって実現した結果のスピードについて次のようにコメントしています。 「ドローンを使用することで、データを迅速かつ安全に取得できるため、これまでのロープアクセスの手法に必要な時間と救助隊の待機費用を大幅に削減できます。ELIOS 3を使用すると、従来の測量ツールでは1日に1つしか測量できなかった大きなマンホールを1日で4つ測量することができました。」
測量ペイロードの結果は、Academy Geomatics社と顧客の両方に絶えず感銘を与えています。「このプロジェクトにおいて、ELIOS 3の点群は、地上レーザースキャナーによるそれと比べてとわずか 20mmの誤差しかありませんでした。これは非常に良い結果であり、このプロジェクトでは測量等級の要件を満たしています。お客様は、より広い範囲を建設計画に使用できますが、この結果により、下水管の位置を 2cmの精度で正確に把握できるため、作業が容易になりました」と Mark 氏は説明しています。
フルビデオ:Academy Geomatics社がこのプロジェクトを最初から最後までどのように完了したかをご覧ください。
地下測量サービスの提供
Mark 氏と Academy Geomatics社のチームは、ELIOS 3を使用することで、不必要なリスクの発生や狭小空間での作業が削減され、作業が容易になることを実感しています。また、作業効率が向上し、より多くの案件を引き受けることができるようになったほか、狭小空間での救助隊を必要としないため、費用の削減も実現しています。仕事の品質向上とその成果により、同社は、顧客から多くの仕事を請け負い、さらには、困難な環境でのデータ収集のため、ELIOS 3の使用をAcademy Geomatics社に依頼する他の測量会社とも提携するようになりました。
Academy Geomatics社は、全国での事業を展開し続ける中、ELIOS 3の使用事例を拡大し、Smart RTHや点検再開などの最新機能を試験的に導入しています。「このツールは、精度を損なうことなく必要なデータを取得するのに役立っています」とMark氏は説明します。ELIOS 3が測量業務において重要な役割を果たし、最も困難な環境でも、より安全、迅速、かつ効率的なミッションの可能性の扉を開いていることは明らかです。
■出典:Flyability社,
Surveying Sewers 4X faster with the Elios 3
https://www.flyability.com/casestudies/drone-sewer-survey
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