今さら聞けない、レベル4解禁の話|後編

2022/12/13

レベル4が解禁されると、私たちの生活や社会はどのように変化するのでしょうか?ここでは、レベル4解禁で期待されている「空飛ぶクルマ」や「ドローン物流」について、海外の動きも含めてご紹介します。

※ドローンの離発着場について、日本では一般的に「ドローンポート」という言葉が用いられていますが、国際規格ではドローンを含む垂直離着陸機(滑走せず垂直方向に離着陸する航空機)の発着場を指す言葉として「バーティポート(Vertiport)」が主流になっています。本コラム内でもバーティポートに統一して記載しております。

「空の移動革命」に向けて

2017年5月、小型無人機に関わる環境整備に向けた官民協議会において、初めて『空の街道革命に向けたロードマップ』が示され、ドローンや空飛ぶクルマの利活用が示されました。

このロードマップは毎年更新されており、最新版(2022年11月現在)では、ドローンや空飛ぶクルマの離発着陸場のロードマップが新たに追加されると共に、官民協議会内に離発着場WGが設置され、社会実装に向けた議論が進められています。

2017年のロードマップでは『離発着場』という言葉はまだ出てこないが、2022年には記載されている。(赤枠の箇所)

出典:国土交通省ホームページ 空の産業革命に向けたロードマップ(2017年)
国土交通省ホームページ 空の産業革命に向けたロードマップ(2022年)

ドローンや空飛ぶクルマについては、2025年度の大阪・関西万博を皮切りに、商用運航の拡大が期待されています。

商用運航の拡大、つまり、日常生活の中で、ドローンや空飛ぶクルマを安全に運航させるためには、飛行中の機体はもちろん、機体の離発着となるバーティポートを含めた総合的な安全確保が必要不可欠です。中でもバーティポートは、ドローンや空飛ぶクルマ、建物や道路などあらゆるインフラとネットワークで繋がり、新たな交通インフラのハブとして機能することが期待されています。

2022年空の移動革命に向けたロードマップの「利活用」の部分を拡大したもの

どこから飛んで、どこに降りるか?重要なのは「バーティポート」

空飛ぶクルマの機体開発は海外でも盛んに行われており、2024年~2025年以降の商用サービス開始が目指されています。
これと平行して、その離発着場であるバーティポートの開発も、日々進んでいます。

ここで重要なのが、社会インフラの要となるバーティポートの設計や運用ルールです。2022年3月、EASA(欧州航空局)が世界で初めてバーティポートを建設するためのガイドラインを発表しました。同年の9月には、FAA(米連邦航空局)もバーティポートの設計に関するガイドラインを発表しています。

開発が進む主な「空飛ぶクルマ」

開発が進む主な「バーティポート」

出典:弊社調べ

バーティポートに関するガイドライン

 出典:EASA発行ガイドライン
FAA発行ガイドライン

バーティポートシステムの国際標準化の取り組み

世界各国で開発が進んでいるバーティポートシステムについて、2020年、国際標準化機構(ISO)内にVertiport(垂直離着陸用飛行場)の規格標準化を議論する場としてWG(DIS5491)が設置されました。バーティポートの仕様が標準化されることで、競争領域と協調領域が明確になり、効率的な技術開発が期待されています。
※ISO規格におけるバーティポートの定義では、物流用、搭乗用、ヘリポートの3クラスあり、WG(DIS5491)は物流用について議論されています。

ISOの審議段階は「95」あり、2022年度は「40照会段階」を目指しています。ISO発行は2023年9月頃を予定しています。

このISOのWG(DIS5491)の委員長を務めているのが、2017年から国土交通省・東京大学と共同でバーティポートの開発を行ってきたブルーイノベーションです。

ブルーイノベーション株式会社 取締役 熊田 雅之

より安全・安心でシームレスな移動社会の実現へ

私たちは、自律的に移動する移動体(自動運転車、ドローン、空飛ぶ車など)が効率的かつ安全に移動できる空間やインフラ、ルールの整備を関係各所と進めています。ポートの国際標準化の規格づくりにも取り組んでおり、自律移動体を取り巻くインフラやルールを標準化することで、新しいモビリティの世界を創っていきたいと考えています。

誰もが気軽で快適に、かつ安全に移動できる社会を実現する、ブルーイノベーションのこれからの取り組みに、どうぞご期待ください。

空飛ぶクルマやドローンがあたりまえのように飛行し、人々の暮らしを支える社会はもう間近に迫っています。ドローンやバーティポート、モビリティなどがリモート(遠隔) で繋がり、人工知能(AI) で安全に、かつ確実に制御・管理された新たな社会インフラを実現する第一歩が、Leve4解禁だとブルーイノベーションは考えています。


BEPポート™について

ブルーイノベーションは2017年からバーティポートの開発を開始し、その後各自治体や企業と様々な実証実験を行ってきました。ブルーイノベーションが開発したBEPポート™は、単に機体が離着陸する場所ではなく、周辺センサーやバーティポート情報管理システムなどのソフトウェアを組み合わせたシステムです。ドローンが安全に離発着するための様々な機能が備わっています。

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