未来の空を創る ― ドローンポート特許が拓く「空のインフラ」
2025/9/22
取締役 副社長執行役員 熊田 雅之
ブルーイノベーションは、ドローンの離着陸を安全に管理する当社の「ドローンポート特許(特許第7130210号)」を活用し、物流・防災・インフラ点検といった幅広い分野で新たな社会インフラの構築に取り組んでいます。
この技術は、災害時に物資を途切れることなく届け、都市部や山間部で効率的に荷物を運ぶなど、生活と社会を支える“空のインフラ”の基盤となるものです。

■特許の概要 | 安全・効率的な運航を可能にする仕組み
当社が東京大学とともに保有する「ドローンポート特許」は、複数のドローンと離着陸基地(ドローンポート)をつなぎ、安全で効率的な運用を可能にする仕組みです。
ポート管理装置※1が着陸可否を判断し、飛行管理装置が位置情報や計画をもとに飛行ルートや離着陸命令を制御します。状況に応じて他ポートへ誘導することもでき、大規模な運用下でも安全性を確保できます。
また、風センサーや監視センサーなど多層的な安全機能により、環境の変化に即応する体制を備えています。
※1 ポート管理装置:ドローンポートや飛行全体を制御する専用のソフトウェア。
■社会的背景 | 急速に広がるドローン活用と安全需要
物流、防災、巡視・点検など、ドローンの活用は急速に拡大しています。
その一方で、離着陸場の混雑や安全性への懸念、人や物との干渉といった課題も増えています。こうした課題を解決するためには、ポートの状態や飛行位置をリアルタイムで把握し、即時に判断・計画を修正できる仕組みが不可欠です。
当社の特許は、この社会的ニーズに応えるものです。
■国の施策との親和性|「全国ドローン航路網」との連動
経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が推進する「ドローン航路の全国仕様・ガイドライン」や「航路登録制度(2026年度本格化予定)」※2は、当社特許と高い親和性を持っています。
国のガイドラインに基づく航路設計や安全評価と、当社のポート技術を掛け合わせることで、複数ポートをまたぐルート設計や計画変更が一層強化されます。
これは、国の制度が進むほど当社技術の活用機会は広がり、業界全体の標準化と普及が加速することを意味します。
※2 経済産業省 「ドローン航路の仕様・規格、ガイドライン、全国線整備地図を策定し、ドローン航路システムのソースコードを公開しました」: https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250519007/20250519007.html
■事業展開の強み | 「ポート×航路」で築く運航基盤
ブルーイノベーションは、特許と自社の技術力を組み合わせることで事業展開に強みを持っています。
複数のドローンポートをつなぎ、風況や安全性、離着陸可否をリアルタイムで監視し、自社開発システムで一元管理できる点は、他社にはない競争優位性です。
さらに当社は、ドローンポートに関する国際標準化の場で主導的な役割を担っており※3、国や業界の標準設計と整合性を確保できる立場にあります。
これにより、当社特許、国の政策、国際標準化活動が一体となり、ドローンの活用は「ポート間の自律飛行」から「全国一体型の運航ネットワーク」へと進化します。当社は、その実現をリードする中核的プレイヤーとして成長を続けてまいります。
※3 当社プレスリリース「世界初、ドローンポートの設備要件を国際標準規格化」 : https://www.blue-i.co.jp/news/release/20230626_1.html
■最後に|技術と知財で未来を創造する
ブルーイノベーションが取り組む「Blue Earth Platform(BEP)」、「ドローン航路の設計」、「特許技術の活用」は、未来の社会インフラを自ら創り出す挑戦そのものです。
当社は、これらを通じて物流・防災分野の新市場を開拓し、持続的な成長基盤を築きます。
今後も、知財戦略と技術開発を組み合わせることで、投資家・パートナー・社会全体に長期的な価値を提供してまいります。

プロフィール
2011年4月に富士ソフト株式会社を経てブルーイノベーションに入社。2022年6月より現職。複数のドローン・ロボットを制御・管理する「Blue Earth Platform(BEP)」をはじめ、開発全般の指揮をとる傍ら、航空関連規格の国際標準化に向け、ISO(国際標準化機構)においてSC16(無人航空機システム)エキスパート、SC17(空港インフラ)エキスパートおよびvertiport(垂直離着陸用飛行場)のプロジェクトリーダーを務める。東京理科大学理工学部物理学科卒業。