下水処理場に流れ着く「不明水」の原因特定を効率化
~奈良県主催の勉強会でELIOS 3を実証、自治体から『すぐ使いたい』の声~
2026/7/30
奈良県 様
奈良県では、下水処理場に流れ着く「不明水」※1の対策が長年の課題となっています。不明水は下水処理施設の負荷増大や維持管理コストの増加につながるため、原因箇所の特定と早期対策が求められています。
こうした課題に対応するため、奈良県は毎年、県内市町村の下水道担当者を対象に「奈良県流域下水道雨天時浸入水等勉強会」を開催しています。
※1不明水:下水処理場に流入するうち、誤接続による直接浸入水や、管路の破損箇所などから浸入する地下水などのこと。
今回の勉強会では、人が立ち入れない下水管路の点検手段として、屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を紹介。
技術講演に加え、実環境を想定した飛行デモンストレーションを実施し、参加自治体から高い関心が寄せられました。
■ 流域下水道における”不明水”の原因特定はなぜ難しいのか
奈良県の下水道は、複数の市町村にまたがる「流域下水道」※2が大きな役割を担っています。
※2 流域下水道:2つ以上の市町村にまたがる区域の下水を、都道府県が主体となってまとめて処理する大規模な下水道システム。
分流式の下水道では汚水と雨水が分流されており、下水処理場への流入量は天候に左右されません。しかし実際には、降雨時に処理場への流入量が増加するケースがあり、この原因の一つと考えられているのが、不明水の流入です。不明水が増加すると、処理場の負担が増大するといった課題があり、早期の原因把握が求められています。
不明水は、老朽化した管路のひび割れや破損箇所から地下水や雨水が浸入することが原因の一つであると考えられていますが、浸入経路の特定は容易ではありません。
主な理由として、以下が挙げられます。
- 水位が高く、人が立ち入れない管路が多い
- 点検に人手と時間がかかる
- 調査手段が限られている
- 管理する管路の延長が長い
こうした背景から、「人が入らずに点検できる手法」へのニーズが高まっていました。これまでにもビデオカメラ車などを使った手法もありましたが、こうした環境への対応には大掛かりな機材や人手が必要となり、迅速な調査が難しいケースも多くありました。
■ ELIOS 3による下水道点検デモを実施、少人数・短時間で管路内部を可視化
勉強会当日は奈良県からの不明水対策に関する報告に続き、ブルーイノベーションよりドローンを活用した下水道点検の効率化について説明を行いました。その後、参加者は現地へ移動し、実環境を想定したフィールドにて、ELIOS 3による飛行デモを見学しました。
ELIOS 3は、GPSの届かない閉鎖空間でも安定飛行が可能な屋内点検用ドローンです。人が立ち入ることが困難な下水管路内部の状況を安全に確認できるため、従来手法では調査が難しかった箇所への適用が期待されています。
■ 現場担当者から高評価「すぐに現場へ持ち込める機動力」が大きな魅力」
参加した自治体職員からは、運用面での高い評価が寄せられました。
「車1台で来て、ドローンを取り出してすぐに点検に入れるのは非常に良い」
「少人数で対応できる点に驚いた」
「従来のカメラ車と比べて、簡単に状況を確認できる」
実際の調査の現場では、点検需要の増加に対して人手が不足していたことに加え、2025年の全国で一斉の緊急点検時には機材の取り合いが発生していた、といった実情もあり、「ドローンを現地に持って行きさえすれば、すぐにその場で状況を把握できるのは非常にありがたい」といった声も聞かれ、機動力と省人化の観点から高い評価を得ました。
■ 不明水対策と点検効率化への期待
実運用を見据えた前向きな意見が寄せられました。
「管径1m以上であれば、十分活用できそう」
「人が入らずに下水道内の内部を確認できる現実的な手段と感じた」
一方で、飛行中にカメラレンズが曇る場面も確認されました。
これは外気を管路内に送風しながら点検を行ったことによる、外気温と管内温度の差により水蒸気が発生し、水分が付着したことが要因であり、今後の運用方法を検討する上で有益な知見となりました。
■今後の展望:日常点検から緊急対応まで
今後に向けて、日常点検だけでなく、緊急時の活用も視野に入れた期待が寄せられています。
「事務所に常備し、必要なときにすぐ使いたい」
「陥没の兆候がある箇所を迅速に確認したい」
「災害時に人が入らずに状況把握できるのは有効」
陥没事故が起きた際には迅速な初動対応が重要です。そのため、「緊急時にすぐ対応できるよう、事前に連携体制(協定)を整えておきたい」といった声もあり、平時からの運用体制構築の必要性も示唆されました。
今回の勉強会を通じて、ELIOS 3は、人が立ち入れない環境での点検、機動的かつ省人化された運用、日常点検および緊急対応といった観点で、自治体が抱える課題解決に有効な選択肢であることが示されました。
奈良県としては、市町村における調査の効率化・高度化を図るため、こうした新技術の活用を重要な選択肢の一つと位置づけています。今回の勉強会を通じて、ELIOS 3の実用性が共有されたことで、今後、各市町村レベルでの活用拡大が期待されます。
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奈良県
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本社所在地 |
奈良県奈良市登大路町30 |
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